RBグローバル[RBA]は、世界最大のオークションマーケットプレイス運営会社です。自らを「商業資産および車両の売り手と買い手をつなぐグローバルマーケットプレイス」と表現し、中古の建機や鉱山機械、農機やトラックなどの産業用機械や乗用車を扱うオークション会場やオンラインマーケットプレイスを運営しています。以前はリッチー・ブラザーズ・オークショニアーズとして知られていましたが、2023年にIAA(Insurance Auto Auctions)を買収したことで、「RBグローバル」に社名を変えて生まれ変わりました(ティッカー[RBA]は継続)。
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【米国株】RBグローバル[RBA]:世界最大の重建機および乗用車のオークション業者 | 米国株の配当・増配銘柄を徹底解説 | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア
2023年、IAA買収を機に社名変更
RBグローバル[RBA]は、世界最大のオークションマーケットプレイス運営会社です。自らを「商業資産および車両の売り手と買い手をつなぐグローバルマーケットプレイス」と表現し、中古の建機や鉱山機械、農機やトラックなどの産業用機械や乗用車を扱うオークション会場やオンラインマーケットプレイスを運営しています。以前はリッチー・ブラザーズ・オークショニアーズとして知られていましたが、2023年にIAA(Insurance Auto Auctions)を買収したことで、「RBグローバル」に社名を変えて生まれ変わりました(ティッカー[RBA]は継続)。
IAAの統合は、同社のビジネスモデルを大きく変える転機となりました。前身となるリッチー・ブラザーズ・オークショニアーズは、1958年にリッチー三兄弟が開催した産業用機械のライブ・オークションに始まります。リッチー三兄弟のライブ・オークションは予約も参加資格も不要な公開オークションを特徴とし、これが当時珍しいこともあって好評を呼び、開催オークションは次々と成功。建設や農業、石油、輸送機械など様々な重建機分野をカバーしながら事業領域を拡大し、1998年にはニューヨーク証券取引所に上場を果たしました。
また、2000年以降はオンライン化を推進し、「IronPlanet」「Marketplace-E」「Govplanet」などオンラインマーケットプレイスの運営を通じてビジネスを拡大。世界有数の重建機オークション業者として知られるようになりました。
買収を通じて事業領域を拡大
同社は買収を通じて事業を拡大してきた歴史があります。競合の機械オークション会社フォークブラザーズ(1999年)に始まり、オールピース(2002年)やルブランオークション(2004年)、デニス(2006年)、クラーク(2007年)、マルテラ(2009年)と、農業機械や建設機械のオークションサービスを提供する企業の買収を進めました。
特に注目されたのは2017年のオンライン重機マーケットプレイスを運営するIronPlanetの買収でした。同社では2002年にオンライン入札を開始しましたが、この買収によってオンラインオークション事業が本格化、急成長を遂げました。コロナ禍ではオンラインオークションマーケットプレイスのおかげで業績を維持することができました。IronPlanetの買収は同社にとって非常に重要な転換点となったと言えます。
重要な転換点に:IAA買収で乗用車領域に拡大
このIronPlanet買収と同じくらい注目されるのが、2023年のIAAの買収です。買収額は約73億ドルで同社史上最大(総GTV139億ドルの50.4%に相当する大型案件)です。中古自動車(一般車両・乗用車)のオンラインオークションサービスを行うIAAの買収によって、同社の取り扱い資産は自動車市場に広がりました。これは総GTV(取引額)の構成比をみると明らかで、自動車の取引は2022年度の3.1%から2023年度には46.9%に急拡大し、さらに2024年度には52.0%を占めました。2021年以前の取り扱いは無く、買収によって自動車分野に新たに進出を果たしたことがわかります。
一方、「CC&T(建設、商業、輸送=掘削機やブルドーザー、大型トラックなどの重機や産業用機械)」の構成比は2019年度から2022年度まで70%以上で推移していましたが、2023年度には39.1%、2024年度には36.5%と縮小しました。とはいえ、事業は堅調で、最近も3月にJM Woodを買収するなどして事業強化も継続しています。
なお、2024年度におけるGTV構成比は、祖業である「CC&T(建設、商業、輸送)」が36.5%、新たに加わった「自動車」が52.0%、農業やエネルギー産業などの専門機で構成される「その他」が11.5%という内訳でした。IAA買収によってカバー領域が乗用車に広がり、非常に包括的な中古輸送機オークションマーケットプレイスになったと言えるでしょう。
業界で最も包括的なオークションプラットフォーム
取り扱う資産は、商用トラック、建設機械、乗用車、政府余剰品…と、競合他社と比べても幅広く(競合のコパート[CPRT]はサルベージ車両中心、オープンレーン[KAR]はリース終了車両中心)、14ヶ国に保有するライブ・オークション会場と、オンラインを通じて170ヶ国以上にプラットフォームを提供しています。
主な売り手は、建設会社やエンジニアリング会社、産業用機械OEM、自動車メーカーやディーラー、保険会社など。例えば、ユナイテッド・レンタルズ[URI]、サンベルトレンタル、ハークレンタルの3大機器レンタル会社やアメリカ国防兵站局とも提携しています。ブランド力や信用力に加えて70年もの歴史の中で育ってきた関係性が競争力となっていると思います。
買い手は建設会社やエンジニアリング会社、個人消費者や中古車ディーラーなどで、同社はこれら買い手と売り手を繋ぎ、サポートする幅広いサービスを提供しています。
提供するのは、オークションプラットフォームだけでなく、オークション事業を補完し、質を高める事業も展開しています。資金調達(RB Financial)や配送(VeriTreadおよびRB ロジスティクス)、機器データ分析と査定(Rouse Services)、機器メンテナンスプラットフォームの提供(SmartEquip)などがあります。オークションプラットフォームの提供から、物流、メンテナンスまで、資産ライフサイクルをトータルで提供できる事業構造となっています。幅広い資産ポートフォリオと合わせて、業界随一の包括的なオークションプラットフォーム会社です。
主な収益源は手数料収入
一方、同社自身が自社在庫の販売を行う「在庫販売事業」もありますが、これは現在売上高の2割程度であり、主な収益源は「サービス売上」となります。サービス売上は主に、販売者または委託者からの手数料、マーケットプレイスサービスからの手数料、様々なサービスによる手数料があります。例えば、落札されると出品者から15%の手数料収入が得られます。
要するに手数料収入なので、GTV(取引額)とテイクレート(売上÷GTV)が拡大することで、成長しています。GTVは買収効果で2023年には2019年度の約3倍に拡大し、テイクレートは17%から21%に上昇しました。テイクレートの上昇は収益性の向上を意味します。これらの結果、サービス売上は3倍以上に拡大しました。IAA買収後の2024年度も堅調に推移しています。
総合評価:強固な事業基盤と高められた競争力を評価し、株価のさらなる上昇に期待
世界最大の重建機オークションプラットフォームを通じて中古重建機需要を享受し、業績は長年堅調に推移してきました。売上高は、過去20年間は年平均15%、過去10年間は24%でした。そしてこの3年間においてはIAA買収によって急拡大したことで、年平均成長率は43%を記録しています。
2023年~2032年の間、中古建機市場は年平均5.8%の成長が、中古自動車は9%の成長が見込まれています。中古車市場への参入により成長が加速する可能性があります。IAA買収によって資産ポートフォリオが乗用車に拡大したことで、同社は業界随一のトータル提供力を持つオークションプラットフォームとなりました。
同社は車両オークション市場で約29%のシェアを獲得していますが、同じくオンライン自動車オークションを提供するコパート(Copart)[CPRT]も29%を獲得しており、同社の主な競争相手となります。IAA買収以前は、同社は重建機市場、コパートは乗用車市場、というように市場を別にしていましたが、現在では市場が重なる競合となっています。同社がIAA買収によって自動車市場に参入した一方で、コパートも2023年に建機や農機のオークションプラットフォームを運営するPurple Waveと資本提携を結び、RBグローバル側の市場に参入してきました。今のところ、コパートは物流、保管、所有権手続きにとどまり、RBグローバルの周辺サービスにまで及ぶトータル提供力に優位性がありますが、コパートも能力を高めれば手ごわい相手となる可能性があります。
同社では配当によって株主還元を行っています。配当は21年連続増配の実績を持ち、概ね5%~7%のペースで増配されてきました。配当性向は60%程度余裕が残されています。配当利回りは低いものの、同社の場合、成長株として株価成長によるリターンが期待できると思います。2017年のIronPlanetの買収によってオンライン化が加速したように、2023年のIAA買収は重要な転換点であり、新たな成長フェーズに入ったと見ることができます。
【図表1】RBグローバル[RBA]年間配当推移
出所:Bloombergより筆者作成
※2004年~2025年、2025年は予想値(直近四半期実績を通期換算)
【図表2】RBグローバル[RBA]とS&P500の株価推移比
出所:Bloombergより筆者作成
※RBグローバル[RBA]株価は1998年3月31日を1とした数値