トレーダーはイーサリアムを見限った？──オプション市場では、ETHの下落リスクはBTCよりも高い | CoinDesk JAPAN（コインデスク・ジャパン）

• 市場センチメントはイーサリアムに対して弱気に傾き、下落リスクに対する保険プレミアムはビットコインよりも高くなっている。
• イーサリアムの短期オプションでは、プットオプションがコールオプションに対して2%から7%のプレミアムを示しており、潜在的な下落リスクへの懸念を示している。
• ビットコインのプットオプションは、コールオプションに対して比較的低いプレミアムで取引されている。

デリビット（Deribit）のデータによると、イーサリアム（ETH）の下落に備えるためのデリバティブ取引は、ビットコイン（BTC）よりもコストが高くなっており、時価総額で2番目に大きい暗号資産（仮想通貨）であるイーサリアムに対する市場センチメントが変化していることを示している。

このセンチメントの変化は、数週間にわたり大口投資家がイーサリアムを好む傾向が続いた後に起こった。

アンバーデータ（Amberdata）のデータによると、8月と9月に満期を迎えるイーサリアムのオプションの25デルタ・リスクリバーサルは、-2%から-7%で取引されていた。これは、価格下落に対する保護を提供するプットオプションが、コールオプションよりも2%から7%のプレミアムが付いていることを意味し、潜在的な下落リスクに対する懸念を反映している。

[イーサリアムのオプション指標。：Deribit/Amberdata]一方、ビットコインの短期プットオプションはコールオプションに対して1%～2.5%のプレミアムで取引されており、下落懸念は比較的抑制されていることを示している。

プットオプションは、購入者に特定の期日までにあらかじめ定められた価格で原資産を売却する権利を与える。プットオプションの購入者は、市場に対して暗黙のうちに弱気であり、現物市場の保有資産をヘッジしたり、価格下落から利益を得たりしようとしている。反対にコールオプションの購入者は、市場に対して暗黙のうちに上昇を見込んでいる。

[ビットコインのオプション指標。：Deribit/Amberdata]25デルタ・リスクリバーサルは、25%のデルタを持つプットオプションのロングポジションとコールオプションのショートポジション（またはその逆）で構成されるオプション戦略だ。これは、両オプションの行使価格が原資産の市場価格から比較的離れていることを意味する。

リスクリバーサルは、為替市場（FX市場）では時間軸ごとのセンチメントを測るために広く追跡されている。プラスの値は強気のセンチメントを、マイナスの値はその逆を示唆している。

イーサリアム（Ethereum）ブロックチェーンのネイティブトークンであるETHは、7月に48%急騰し、7カ月ぶりの高値となる3941ドルに達し、BTCの8%上昇を大きく上回った。しかし、この上昇の大部分は7月の前半に発生し、企業による採用のみに起因し、オンチェーン活動によるサポートが不足しているという懸念から、上昇は勢いを失った。

CoinDeskのデータによると、ETHは最近3600ドル付近で取引されており、24時間で6%以上下落した一方、ビットコインは3%下落して11万4800ドル付近となっている。